高杉の!読みすぎ!書きすぎ!しゃべりすぎ!(仮)

読んだ書籍について紹介するブログ。時折、労働法関連についても役立ちそうなことを紹介します。

しゃべりすぎ記録No.04【普通解雇】~解雇の種類を知っておこう~

どうも、本日も「高杉の!読みすぎ!書きすぎ!しゃべりすぎ!(仮)」に遊びにきてくださってありがとうございます!

 

今日は「解雇」についてのトラブルについてご紹介しますね。

本日は法律関係の記事です。

何が言いたいか、わかりますか?

・・・

・・・・・

・・・・・・・

記事作成するのに時間かかって大変だったから、褒めてねってこと。
(承認欲求が凄まじく強くなるのです(笑))

 

それはさておき、
皆さん、「解雇」は自分とは縁遠いものって感じてませんか?

 

「縁遠いと感じる」と思った方は日本の法制度の恩恵を感じてください(笑)
「縁遠いことない。むしろ身近だ」と思った方は危機感が強いですね(笑)

 

何が言いたいかというと、
日本の場合、法制度的には「労働者はよく守られている」ということです。
つまり、日本では「解雇」のハードルはめちゃくちゃ高い、ということです。
一方で欧米では解雇なんて日常茶飯事なんですよ。
まぁ、それは諸外国では転職市場やらセーフティネットが整っているからでもあるんですけどね。(それはまたの機会に触れようかと思います)

 

さて、話は本題に戻りますが、事前に注意事項を一つ。

当ブログは労働法関連を、なるべくわかりやすい表現に置き換えております。
また実際の裁判の判決はケースバイケースであり、ここで紹介されているのは過去の裁判例をご紹介しているに過ぎないため、参考程度のものであることを前提にご覧ください。


労働者と会社の雇用関係が終了するには、主に次の種類があります。

①辞職(最低でも辞める2週間前に「会社、辞めさせてください。さーせん。」のパターン)
②合意解約(①辞職と類似しますが、こちらは期間が決まっていないパターン)
解雇(「きみ、明日からこなくていいよ、クビ」のパターン)

※①②の違いは下記サイトが分かりやすいため、興味のある方はご覧ください。

http://www.hotlaw.jp/blog/2926/

 

その中でも、今回は「③解雇」に焦点を当ててみます。
「解雇」とは会社が一方的に労働契約を終了させること、を言います。

いわゆる、クビとかリストラとか肩たたき等のことだね!

解雇の種類としては次のようなものが挙げられます。

【解雇】
①普通解雇
→勤務態度が悪いし、就業規則に書いてあることを守れないから辞めさえちゃえ、っていうパターン。
②諭旨解雇
→懲戒解雇でもおかしくないけど、情状酌量してあげる。退職金も一応あげるね。っているパターン。
③懲戒解雇
→社会的に悪いことしたからクビっていうパターン。②とは異なり退職金なんて出ない。
④整理解雇
→会社の採算が合わないので人員整理するパターン。いわゆるリストラっていうやつ。
 
んで、この「解雇」って、会社が一方的に従業員を辞めさせるわけですよ。
めちゃくちゃ恐ろしいですよね。
1回遅刻したくらいで、社長から「お前、なんか気に入らねぇんだよね。だから明日からこなくていいよ。クビ。」なんて言われたらどう思いますか?
「厳しすぎだよぉぉぉぉぉ!明日からの生活どうすんの!」
って言いたくなりますよね。
こんなことがまかり通っていいわけがないですよね。
ですから、労働基準法や労働契約法では「解雇」に関して規制を設けているんです。
 
かといって、会社側としても正当な理由がある場合には解雇できないと、会社にダメージを与えるような人をいつまでも雇っているわけにはいかないし。
コンビニのレジからネコババするような店員、アイスケースの中に入って写真撮ったりする店員、レジ横のおでんを食べるような店員、一度捨てた魚を再度まな板に載せる店員などを雇い続けるのも企業側の社会的信用失っちゃうし。
 
っていうことで、企業には解雇する権利があるけど、それをむやみやたらと実行すると労働者の社会生活基盤まで失われちゃう。
先ほど挙げた例なんかは極端すぎるから、「これは社長あかんやろ」「従業員側に問題ありやな」っていうのが明白ですが、
たまにグレーゾーンなケースがあるんですよね。まさしく、そのグレーゾーンの時にトラブルになりやすい。つまり、裁判に発展しやすいんですね。
 
ということで、今回はこの「解雇」トラブルの裁判例をご紹介しましょう。
 
事件名:高知放送事件
事件番号:昭和49年(オ)第165号
 
裁判内容を確認する前に、少々事件概要を確認しておきましょう。

<Y放送>
当社ではラジオ放送があるんです。
通常はFAX担当者がおり、その者がアナウンサーXを起こしてニュース原稿を手渡すことになってるんです。
うちは就業規則もきちんとあります。
もちろん、解雇に関する内容も記載してあります。

ここまでの会社状況を押さえたうえで、裁判に至るまでの流れを見てみましょう。 
それでは、裁判劇場のはじまり、はじまり~(^^)/

<FAX担当者>
やべ!ラジオ放送開始時間を寝過ごした!アナウンサーXを起こさなきゃ!やべ!マジやべ!

<アナウンサーX>
スヤスヤ・・zzz

<Y放送>
アナウンサーX来ないやんけ。放送できんやん。(結果10分間放送できず)

放送終了後・・・

<アナウンサーX>
本当すみませんでした!以後気を付けます!

<Y放送>
うん。まぁ、寝過ごしたとはいえ、極力早くスタジオ入りするようにしていたから、今回はおとがめなしにしておくよ。以後気を付けてね

1週間後・・・

<FAX担当者>
やべ!また寝過ごした!アナウンサーXを起こさなあかん!やべ!マジでやべ!これ先週と同じ失態やん!

<アナウンサーX>
スヤスヤ・・・zzz

<Y放送>
あれ?これ先週もやん。また放送できんやん。(結果5分間放送できず)
※ちなみにアナウンサーXはこの放送事故の件を会社には報告していませんでした。

放送終了後・・・

<アナウンサーX>
すみませんでした。

<Y放送>
とりあえず、事故報告書を提出してくれ。

後日・・・

<Y放送>
あれ?これ事実と少し違うところあるよね?
しかも、2回目の寝坊のとき報告を怠ったでしょ?
これは、就業規則上の懲戒事由にあたるよね?本来なら懲戒解雇になるけど、あなたの将来のことも考えて、普通解雇にするね。ちなみにFAX担当者はけん責処分な。(=反省文みたいなもの)

<アナウンサーX>
まじですか!?解雇だなんて、あぁぁぁんまりだぁぁぁぁ!!!・・・訴えてやる!!

 

そして・・・判決の日。

<最高裁判所>
アナウンサーXの解雇は認めません。無効です!
よって、労働者側であるアナウンサーXの勝ち~!

<アナウンサーX>
やった~!これで働き続けることができる~!安心や~!

 

では、どのような点を考慮して、解雇無効の判決にいたったのでしょうか。手順を見てみましょう。

 

まず、最高裁判所はこのように言っております。

<最高裁判所>
本来は懲戒解雇とするべきところを、本人の将来を考慮してあげた結果、目的は「懲戒」だけれども、形式として(懲戒解雇よりハードルの低い)普通解雇にすること自体は特に問題にはなりません。

つまり・・・ 裁判所としては、懲戒解雇の変わりに普通解雇にすること自体に問題はないですよ、っていうことですね。

ここで、そもそも「解雇」が有効となるための法的解釈を見てみましょう。
※「解雇」だから普通解雇も懲戒解雇も諭旨解雇も含まれますからね。その点を踏まえて下の解説を見てください。
※条文は頭が混乱するから無視してもいいからね。カッコ書きの中に解釈を書いているからそっちを見るだけでもいいよ。

 

【解雇権濫用法理】(労働契約法第16条)
解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

(つまり、解雇するには、きちんとそれ相応の客観的に理由が必要で、その理由も社会一般的に常識的なものでない場合は、むやみやたらと解雇権を使用したものとして無効にします、ということです。)

 

ちなみに「懲戒」も同じように有効となるには条件があります。
ちょっとややこしくなってきたと思うけど、もう少し続きを読んでね。
「懲戒」っていうものにも種類があるんです。
これは法律的に定められたものでないから、会社によって違うけど、だいたい同じだよ。たとえば一般的にはこんなんがあるよ。

 

【懲戒の種類】
けん責:始末書を書かせて、もう二度とするなよ、っていう戒めのもの。
減給:文字通り、給料を減額させる。
(※労働基準法で減給できる割合は決まっているんだけど、ここでは説明を省くね。)
出勤停止:これも文字通り、決めた日数の間、会社に来なくていいから、お家で反省しなさい、っていうやつね。もちろん、その間は無給だよ。
懲戒解雇:即時解雇。今回の裁判はこれが少し絡んでるんだね。
 
そして、「懲戒」もきちんと法律的に認められる場合と認められない場合があるので、その規定をされているのが下記の内容です。
これも条文を読むとややこしいので、混乱する場合はカッコ書きを読むのでかまいませんよ。
【懲戒権濫用法理】(労働契約法第15条)
使用者が労働者を懲戒とすることができる場合において、当該懲戒が、当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、当該懲戒は、無効とする。

(つまり、懲戒を与えるためには、その原因となった労働者の行為の内容や性質などから見て、それ相応の客観的な理由が必要で、しかも、社会一般常識的なものでない場合は、むやみやたらと懲戒権を使用したものとみなして無効にしますよ、ということね)

 

そして、「懲戒解雇」は文字を分解してみると、「懲戒」+「解雇」になるでしょ?
そこからも分かるかもしれないけど、懲戒解雇を実行するにはハードルがかなり高いものになるんだよ。
解雇権濫用法理や懲戒権濫用法理と同じように、下の説明を見てみてね。

 

【懲戒解雇】
懲戒解雇がその他の処分と比し、労働者に与える不利益がきわめて大きいことを考えれば、その労働者を直ちに職場から排除するものもやむを得ないほどの事由が認められる場合でなければ、これを社会通念上相当として是認することはできない。

(懲戒解雇って、労働者にとってはかなりダメージがでかいでしょ?再就職のときも履歴書に退職理由で「懲戒解雇により退職」って書かないといけないし。だから、そのダメージが大きいから、懲戒解雇を行う場合は、今すぐにこの労働者を職場から排除しないと会社にかなりのダメージが出てしまうっていう場合でないと、むやみやたらと懲戒解雇したものとみなして無効になるよ、ってことね。)
ここまで見て気付いた人もいるかもしれないね。
つまり、「解雇」も「懲戒」も条文が似ていますよね。
これは、結局のところ、「客観的に合理的な理由」が必要で、かつ、「社会通念上相当として認められる」必要があるっていうことなんですよ。
だから、今回の高知放送事件のように「解雇」トラブルの事件では、まさしく、この点が裁判上での争点になることが多いです。

だから良い子のみんなは解雇を言い渡されても、泣き寝入りしたらダメだぞ!

 
 
では、また裁判内容に話を戻すね。
ここまで見て解雇権を行使するのに必要な条件はなんとなくお分かりいただけたかと思います。
 
ん?ちょっと待てよ。
今回の高知放送事件の場合は、Y放送は、アナウンサーXに対して懲戒解雇になるところを恩情で普通解雇でいいですよ、っていう対応をしたわけですが、
この場合の「解雇」は懲戒解雇の要件として判断するのか、普通解雇の要件として判断するのか、という点が気になります。
(前述にもあるように、懲戒解雇は、普通解雇とちがって、「今すぐにその労働者を会社から排除しないとまずい」っていう条件が必要なので、普通解雇よりもハードルがかなり高いですからね。)
 
そこで最高裁判所は次のように判断しております。

<最高裁判所>
あくまでも、今回は普通解雇として解雇するんだから、懲戒解雇までの要件を満たしていなくていいよ~。たしかに、アナウンサーXの2回の放送事故は、就業規則(※)に書いてある普通解雇の条件に該当するね。
※就業規則は各会社が独自で作れます。ただし、法律に違反するような内容は無効になります。

お。だったら、今回のアナウンサーXは普通解雇にしてもいいじゃん。って思われそうですが、
最高裁判所は続いてこのように言ってます。

 

<最高裁判所>
会社が独自で作れる就業規則には普通解雇ができる理由があったとしても、会社側は常に解雇できるっていうわけではなく、具体的な事情があって、解雇にとして処分することが理不尽なものであり、社会一般常識的に認められることができないときは、解雇の意思表示は、解雇権をむやみやたらと使っているとして無効になります。

やっぱり、ここまで見ると、「解雇できそうじゃん。アナウンサーXは2回も放送事故起こしているし」って思いますよね。 もう少し最高裁判所の言葉を見てみましょう。

<最高裁判所>
本件の放送事故は、いずれもアナウンサーXの寝過ごしという過失行為によって発生したもので、悪意はないし、故意でもない。しかも、通常はFAX担当者が先に起きてアナウンサーXを起こすことになっていたのに、2回の放送事故は2回ともFAX担当者が寝過ごしたからことが原因だよね。それなのに、アナウンサーXだけを責めるのは酷だよね。しかも、
・1回目の放送事故では即謝罪をしている、
・2回目の放送事故でも起床後に一刻も早くスタジオ入りするように努力したこと、
・両事故とも空白時間はさほど長時間とは言えないこと、
・Y放送側も早朝のニュース放送が万全にできるように何らの措置を準備しなかったこと、
・事故報告書を虚偽していたことについても、短期間内に2度の放送事故を起こして気後れしていたことを考えると強く責めることはできないこと、
・アナウンサーXはこれまでは放送事故歴はなく、平素の勤務成績も別段悪くないこと、
・2回目の放送事故では、FAX担当者はけん責処分にしかされていないこと、
・Y放送では、今までは放送事故を理由に解雇したことはないこと、
・2回の事故とも、アナウンサーXは自分の非であると認めて謝罪していること、
などの事実があるので、このような事情をもとで、アナウンサーXを解雇にすることは、いささか苛酷であり、解雇にする合理的な理由が欠けているし、社会一般的であるとは認められない
したがって、この事件での解雇権は濫用したものとして無効になる。

 
これ、どういうことかというと、上述の「懲戒権濫用法理」の枠を見てほしいのですが、「懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして」というフレーズがありますね。 この部分について、最高裁判所がつらつらと検証している部分なんです。
つまり、「ほら、こういう事情があるでしょ?アナウンサーXはそれほど酷いことしていないでしょ?」っていうことを証明しているんですね。
 
 
おしまい♪♪
参考:
 
 
こんな感じで懲戒解雇や普通解雇ってのはかなり慎重に、事実や状況を検証していくんですね。
皆さんはいかが思いましたか?今回の高知放送事件に関して、
「このアナウンサーXは懲戒解雇または普通解雇にされても当然だろ。」と思いましたか?
それとも、
「さすがに、これだけで懲戒解雇・普通解雇にするのは重たすぎる処分でしょ」と思いましたか?
 
懲戒権や解雇権において「社会一般常識的に(法律用語で「社会通念上相当に」といいます)」というキーワードが出るのですが、
社会通念なんてかなり曖昧な言葉ですからかなり争点になりやすいところです。
 
だからこそ、この点を意識して判例を見ていると、”自分の中にある”社会通念と”法律的にみる”社会通念が一致しているかどうか確認することができますよ。
 
それでは、また興味深い判例がたくさんあるので、
順を追ってご紹介しますね!
 
解雇されることなんかないように気を付けてね!
 
ばいばいき~ん!(@^^)/~~~